厚生労働省「令和7年外国人雇用実態調査」を公表 外国人労働者は約204万人、賃金・入職経路の実態が明らかに
何が公表されたのか
厚生労働省は令和8年(2026年)8月31日、「令和7年外国人雇用実態調査」の結果を取りまとめ、公表しました。この調査は令和5年から実施されているもので、外国人労働者を雇用する事業所の雇用形態や賃金などの雇用管理の状況に加え、働く本人の入職経路や現在の雇用状況を、産業別・在留資格別に把握することを目的としています。対象は、雇用保険被保険者が5人以上で外国人労働者を1人以上雇用している全国の事業所と、そこで働く外国人常用労働者です。抽出された9,016事業所のうち有効回答が得られた3,919事業所、14,248人分を集計しています。
外国人労働者は約204万人、専門的・技術的分野が4割超
事業所調査によると、外国人労働者数は約204万人で、前年の約182万人から増加しました。在留資格別の構成比は「専門的・技術的分野」が42.1%(前年38.9%)と最も多く、「身分に基づくもの」が24.0%(同27.6%)、「技能実習」が21.7%(同20.2%)と続いています。労働者調査では国籍・地域別の割合も示され、ベトナムが26.5%(前年32.4%)で最多、次いで中国(香港、マカオ含む)が14.7%、フィリピンが10.5%でした。ベトナムの比率は前年より低下しており、出身国の広がりがうかがえます。
賃金と労働時間 在留資格による差
一般労働者の「月間きまって支給する現金給与額」は292.4千円で、前年比6.4%の増加となりました(所定内実労働時間158.7時間、超過実労働時間17.6時間)。在留資格別では「身分に基づくもの」が347.2千円(同13.8%増)で最も高く、「専門的・技術的分野」が306.5千円(同6.0%増)、そのうち特定技能は254.1千円(同1.5%増)でした。「技能実習」は213.5千円(同1.7%増)となっています。労働時間をみると、特定技能は所定内163.1時間・超過20.3時間、技能実習は所定内165.2時間・超過21.4時間と、金額が高い区分ほど労働時間が短い傾向が示されました。
雇用の理由と、現場が抱える課題
外国人労働者を雇用する理由(複数回答)では「労働力不足の解消・緩和のため」が68.2%で最多、「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」が56.2%と続きました。「事業所の国際化、多様性の向上を図るため」は18.1%、「日本人にはない知識、技術の活用を期待して」は14.1%で、いずれも前年から上昇しています。一方、雇用に関する課題(複数回答)では「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が46.2%で最も多く、「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」が24.8%、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」が22.4%、「生活環境の整備にコストがかかる」が21.9%でした。
入職経路と働く人の声
入職前に日本に住んでいた人の入職経路は「知人、友人」が37.8%で最多、次いで「求人広告(求人情報誌、インターネット)」が19.1%、「日本国内の民間紹介会社」が10.6%でした。入職前の居住地が日本以外だった人では82.0%が紹介会社や個人からの紹介等を経ており、「出身国・地域の紹介会社・個人」が41.2%、「日本国内の紹介会社・個人」が16.7%となっています。入国までにかかった費用総額は「20万円以上40万円未満」が21.1%、「40万円以上60万円未満」が18.7%でした。就労上のトラブルは「なし」が88.5%、「あり」が10.0%で、「あり」と答えた人の内容としては「紹介会社(送出し機関含む)の費用が高かった」が22.2%、「どこに相談すればよいかわからなかった」が15.8%、「事前の説明以上に高い日本語能力を求められた」が11.9%と報告されています。
採用担当者が実務で押さえたい点
今回の調査では、在留資格ごとに賃金水準と労働時間の傾向が異なることが数字で示されました。自社の賃金設計や残業実態を、同じ在留資格区分の水準と照らして点検する材料になります。また、日本国内在住者の採用では「知人、友人」の紹介が最大の入職経路であり、在籍者からの紹介を活かす仕組みづくりが有効と考えられます。あわせて、日本語によるコミュニケーションや在留資格関連の事務負担が課題の上位に挙がっていること、働く本人側からは紹介費用の高さや相談先が分からないという声が出ていることを踏まえ、募集時の日本語要件の説明と、入社後の相談窓口の明示を改めて確認しておきたいところです。なお、令和7年調査では「今の会社の仕事を続けたい」と回答した人が81.2%、過去1年間に日本語学習以外の職業訓練・勉強等を行った人が50.4%となっており、定着支援や学習機会の提供を検討する際の参考になります。
出典
mhlw(2026-08-31発表)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75722.html
※本記事は一般的な情報提供です。個別の事情については出入国在留管理庁または行政書士にご相談ください。